近年、樹木や草花を墓標とする「樹木葬」を選ぶ人が増えています。その中でも、自治体が運営する「公営霊園」の樹木葬は、信頼性が高く安心して利用できることから人気があります。

この記事では、公営霊園の樹木葬の特徴やメリット・デメリット、民営霊園や寺院墓地との違いなどについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

エータイでは、全国90以上の厳選寺院と提携し、累計3万組以上のお客様に年間管理費不要の永代供養墓・樹木葬・納骨堂をご紹介しております。
まずはお墓の写真や料金を見てみたいという方は、こちらからお近くのお墓を探してみてください。

公営霊園の樹木葬とは？

公営霊園の樹木葬とは、自治体が運営する霊園の樹木葬のことをいいます。

そもそも樹木葬は大きく分けて以下の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。

墓地の種類	運営主体	特徴
公営霊園	自治体	費用が安い/抽選制の場合が多い
民営霊園	民間事業者	多様な区画がありデザイン性も高い
寺院墓地	寺院	寺院の境内にあり手厚い供養が受けられる

公営霊園は運営主体が自治体のため、費用が比較的安いこと、信頼性が高く安心感があるという特徴があります。

近年は民営霊園の樹木葬も増えており、自分に合ったスタイルの樹木葬を選びやすくなっていますが、経営状態によっては倒産するリスクがあるため注意が必要です。

寺院墓地の樹木葬は、何百年も続く歴史ある寺院内で眠れること、手厚い供養が受けられることが特徴となっています。

樹木葬の基礎知識を深めたい方は以下の記事を参考にしてください。

樹木葬とは？特徴や種類、費用相場、購入の流れを解説

公営霊園の樹木葬のメリット・デメリット

公営霊園の樹木葬は、自治体が運営するため安心感がありますが、メリット・デメリットをよく理解しておくことが大切です。

ここでは、メリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説します。

公営霊園の樹木葬のメリット

公営霊園の樹木葬のメリットは、大きく分けて3つあります。

費用を抑えられる

公営霊園の樹木葬の大きなメリットとして、お墓の費用が抑えられることが挙げられます。

公営霊園の樹木葬は自治体が運営しているため、費用が必要以上に高額になることはありません。

一方、民営霊園や寺院墓地の樹木葬では、立地や設備・樹木葬のデザインなどによって費用が高くなる場合があるため注意が必要です。

地方公共団体が運営するため経営破綻のリスクが非常に低い

公営霊園の樹木葬は自治体が責任を持って管理し続けるため、長期に渡って安心して供養してもらえます。

一方、民営企業が運営する民営霊園は経営破綻のリスクがあります。経営状態によってはサービスが停止したり、管理が行われなくなることがあるため注意が必要です。

民営霊園の樹木葬を選ぶ際は、企業の経営状態をしっかり確認して選ぶようにしましょう。

宗旨・宗派を問わない

公営霊園の樹木葬は、宗旨・宗派を問わず誰でも申し込みができることがほとんどです。

家族の宗派が異なる場合も、宗旨・宗派不問のため一緒に眠ることが可能です。また、無宗教の人や、仏教以外の人も利用しやすくなっています。

どのような人も気軽に利用できることが、公営霊園の樹木葬のメリットといえます。

公営霊園の樹木葬のデメリット

公営霊園の樹木葬には、いくつか注意すべきデメリットもあるため、詳しく解説します。

人気が高く抽選になることがある

公営霊園の樹木葬は人気が高いことから、多くの自治体が抽選制度を実施しています。

抽選の競争率が高いため外れることも多く、複数回応募してやっと利用できるというケースも珍しくありません。

また、抽選制のため利用したいタイミングで購入できない場合も多く、希望の納骨日に間に合わなかったり、法要などとの調整が難しくなることもあります。

公営の樹木葬を利用したい場合は、抽選制度の有無や過去の当選倍率、募集時期などを事前に調べ、スケジュールに余裕を持って申し込むようにしましょう。

当選してから納骨まで時間がかかる

公営霊園のデメリットとして、当選してから実際に納骨できるまで時間がかかる点が挙げられます。

公営霊園の樹木葬では募集回数が少なく、申し込みから当選発表、入金までのプロセスに時間がかかるため、すぐに納骨できない場合が多くなっています。

公営霊園の樹木葬を検討する場合は、納骨までの期間に余裕を持てるかどうかがポイントです。

早く納骨したい場合は、納骨や法要の日程を自由に決められる民営霊園や寺院墓地の樹木葬を検討すると良いでしょう。

公営霊園の樹木葬の費用相場

公営霊園の樹木葬の費用相場は、約10万円～20万円です。

「第16回　お墓の消費者全国実態調査（2025年）」によると、樹木葬の平均購入金額は67.8万円となっており、公営霊園の樹木葬の費用がかなり抑えられていることがわかります。

また、自治体によっては10万円以下で納骨できる場合もあります。ほとんどの場合年間管理料も不要のため、継続的な費用負担もなく安心できます。

樹木葬の費用相場について、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

樹木葬の費用相場はいくら？内訳や種類ごとの費用を紹介

民営霊園・寺院墓地の樹木葬との特徴の違い

樹木葬には公営霊園だけでなく、民営霊園や寺院墓地で運営されているものもあります。

ここでは、民営霊園の寺院墓地の樹木葬の特徴について、詳しく解説します。

民営霊園の樹木葬との違い

公営霊園と民営霊園の樹木葬の違いは、以下のとおりです。

特徴	公営霊園	民営霊園
自由度	低い	高い
購入方法	抽選制が多い	気に入ったものを購入する
交通アクセス	不便な場合がある	アクセスや環境が良い場合が多い
費用	安い	公営霊園より高い
宗旨・宗派	不問	不問
供養	簡素	定期的な供養が行われる

民営霊園の樹木葬は民間事業者が企画・運営するため、多様なデザインの樹木葬を選べます。

また、樹木を選べたり個別のプレートが設置できることも多く、自分らしい供養ができるという特徴があります。

民営霊園の樹木葬は交通アクセスなどの利便性が高く、サービスの質も高いことも特徴です。

樹木葬の供養は寺院が行いますが、毎年合同供養などが行われ遺族が参列できる場合もあります。

ただし、民営霊園の樹木葬は公営霊園よりも費用が高いことがほとんどです。

また、民間事業者が運営するため、倒産リスクがあります。民間事業者が倒産してしまうと、持続的な供養が難しくなるため注意が必要です。

民営霊園は自由度が高く納得できる供養がしやすい反面、運営事業者の経営リスクがあること、費用が比較的高くなることを覚えておきましょう。

寺院墓地の樹木葬との違い

公営霊園と寺院墓地の樹木葬の違いは、以下のとおりです。

特徴	公営霊園	寺院墓地
自由度	低い	比較的高い
購入方法	抽選制が多い	気に入ったものを購入する
交通アクセス	不便な場合がある	アクセスや環境が良い場所が多い
費用	安い	公営霊園より高い
宗旨・宗派	不問	不問の場合が多い
供養	簡素	手厚い

寺院墓地と公営霊園の樹木葬における主な違いは「供養の手厚さ」です。

寺院墓地の樹木葬は、僧侶が常在する寺院の中にあるため、日常的な供養や法要を重視したい人に向いています。

また、寺院墓地の樹木葬では、命日やお彼岸、お盆などの行事に合わせて読経が行われたり、定期的な合同供養が行われることも多くなっています。

寺院墓地は環境が良い静かな場所にあることも多いため、落ち着いた雰囲気で供養することが可能です。

ただし、寺院墓地の樹木葬は手厚い供養を受けられる反面、公営霊園よりも費用が高い場合が多くなっています。

一方、公営霊園の樹木葬は、寺院墓地と比べて費用が安いことが魅力です。

しかし、寺院墓地の樹木葬ほど手厚い供養を受けられないため、供養や法要を重視したい人には寺院墓地の樹木葬を選ぶと良いでしょう。

公営霊園の樹木葬を申し込む際の注意点

公営霊園の樹木葬を申し込む際は、民営霊園とは異なる独自のルールがあるため注意が必要です。

ここでは、申し込み時の注意点について詳しく解説します。

申し込み条件や申し込み期間が決められている

公営霊園の樹木葬は「市区町村に住民票があること」など、申し込みルールが明確に決められている場合が多くなっています。

自治体ごとにルールが異なるため、申し込みの際はきちんと条件を確認することが大切です。

また、申し込み期間も「1年に1度」「数年に1度」というように募集頻度が少ないため、応募受付期間を把握し、短期間で申し込みを完了させる必要があります。

書類の不備があると受け付けられない場合もあるため、自治体が発行する募集要項を細かく確認し、正確に申し込むことも大切です。

公営霊園の樹木葬は数が少なく競争率が高い

公営霊園の樹木葬は人気が高いため、なかなか当選しないことがあります。

一度落選すると次回募集まで待つ必要がありますが、募集そのものも頻繁に行われないため、希望する時期に樹木葬が利用できないことも多くなっています。

公営霊園の樹木葬に応募する場合は、当選できない可能性も考慮し、民営霊園や寺院墓地の樹木葬も同時に検討しておくようにしましょう。

ペットは一緒に埋葬できない

近年はペットを家族の一員として大切にする人も多く、「ペットと一緒に眠りたい」と考える人も増えています。

しかし、多くの公営霊園の樹木葬ではペットとの合葬を認めていないため、同じ区画に埋葬してもらうことはできません。

一方、民営霊園や寺院墓地では、ペットと一緒に埋葬できる樹木葬が増えており、選択肢も多くなっています。

ペットと一緒に眠りたい人は、民営霊園や寺院墓地を検討すると良いでしょう。その際は、ペットの扱いに関する規定をきちんと確認することが大切です。

ペットと一緒に入れる樹木葬を紹介！費用相場や自宅での供養方法も解説

公営霊園の樹木葬を申し込む手続きや流れ

公営霊園の樹木葬を申し込む際は、条件や申込期間をきちんと確認することが大切です。手続きや流れは下記の通りです。

1. 樹木葬がある公営霊園の募集要項を入手する
2. 現地見学に行く
3. 申し込みを行う
4. 抽選
5. 書類審査
6. 墓地使用料や管理料を支払う
7. 使用許可証をもらう
8. 納骨する

ここでは、公営霊園の樹木葬の申し込み手順について詳しく解説します。

①樹木葬がある公営霊園の募集要項を入手する

公営霊園の樹木葬を検討する際は、まずは自治体が公開している樹木葬の募集要項を入手しましょう。

この募集要項には、申込資格や募集区画数、費用や応募期間など申し込みに必要な情報が詳細に書かれています。

募集要項の内容は自治体によって異なるため、条件を細かく確認し、必要な準備を早めに進めることが大切です。

②現地見学に行く

公営霊園の樹木葬を検討する際は、実際に現地見学して雰囲気を確認しましょう。

樹木葬の環境やアクセス方法、区画の配置などを確認することで、希望に合った樹木葬かどうかを確認できます。

わからないこと、知りたいことは見学時に管理担当者に確認しましょう。

事前に質問事項をまとめておくことで、疑問点や不安点をもれなく確認できます。

③申し込みを行う

現地見学で納得できた場合は、正式な申し込み手続きに進みます。

募集要項に沿って申し込みを行いますが、多くの場合は書類をまとめて郵送または窓口で提出する形式です。近年はオンライン申し込みに対応している自治体もあります。

提出書類に不備があると申し込みが無効になる可能性があるため、しっかりと確認しながら進めることが大切です。

「消印有効」「必着」などの条件を確認し、確実に申し込みを行いましょう。

④抽選

多くの自治体では、公営霊園の樹木葬の申し込みが多いため抽選が行われる場合が多くなっています。

抽選結果の発表は「郵送通知」や「ホームページ掲載」など自治体によって異なるため、事前に確認するようにしましょう。

⑤書類審査

抽選に当選すると、次は書類審査が行われます。

ここでは、申し込み内容が募集条件を満たしているかということや、提出書類に不備がないかなどが確認されます。

審査の対象となる書類は、住民票や戸籍関係書類、遺骨の保管に関する証明書などです。

自治体によりますが、審査は数週間かかることが一般的です。

⑥墓地使用料や管理料を支払う

書類審査を通過すると、墓地使用料や管理料の支払い案内が届くためすみやかに入金します。

支払期日を遅れると許可が無効になる可能性があるため、注意が必要です。

自治体が費用の納付を確認した後に次の手続きに進めるようになります。

公営霊園は料金が明確で安心ですが、支払い前に費用内訳を確認しておくようにしましょう。

⑦使用許可証をもらう

樹木葬の費用の納付が確認されると、自治体から使用許可証が発行されます。

納骨の際に許可証の提示を求められることがあるため、紛失しないように大切に保管しておきましょう。

⑧納骨する

公営霊園の樹木葬では、自治体が定めた日程や方法に従って納骨することが一般的です。

公営霊園ではルールが厳密に定められているため、事前に納骨の流れを確認しておくことで落ち着いて納骨できます。

樹木葬のタイプによっては納骨時の立ち合いができないこともあるため、合わせて確認するようにしましょう。

樹木葬がある首都圏の公営霊園の例

首都圏にある公営霊園の樹木葬は、以下のとおりです。

霊園名	場所	使用料	条件
多磨霊園	東京都府中市	・1体あたり81,000円 ・粉状遺骨は1体あたり27,000円	都内に5年以上継続して居住していることなど
さいたま市営霊園 思い出の里	埼玉県さいたま市見沼区	1体あたり100,000円	さいたま市に1年以上居住していることなど
峰山霊園	神奈川県相模原市南区	1体あたり92,000円	相模原市に住民登録をして1年以上居住していることなど
千葉市営 平和公園墓地	千葉県千葉市若葉区	・1体あたり60,000円 ・粉状遺骨は1体あたり40,000円	千葉市内に1年以上居住していることなど

どの樹木葬も、費用が安く抑えられていることが特徴です。また、「自治体に1年以上住んでいること」という条件が多いことがわかります。

各霊園のホームページでは、抽選倍率を公表しているところもあるため、確認するようにしましょう。

公営霊園の樹木葬でよくある質問

ここでは、公営霊園の樹木葬についての質問を紹介します。

公営霊園の樹木葬は誰でも申し込めますか？

公営霊園の樹木葬は、基本的に誰でも申し込めるわけではなく、自治体ごとに細かく利用条件が定められています。

特に、その地域に一定期間居住していることが条件になっていることが多いため、事前に募集要項をよく確認しましょう。

公営の樹木葬では遺骨はどのように埋葬されますか？

公営霊園の樹木葬では、遺骨の埋葬方法は自治体によって定められています。

骨壷のまま地中に埋葬する方法や、粉骨して埋葬する方法などがあるため、確認してから申し込むようにしましょう。

公営霊園の樹木葬でもお墓参りはできますか？

公営霊園の樹木葬でもお墓参りは可能です。ただし、線香やお供え物などを禁止している場合もあるため、事前に確認するようにしましょう。

まとめ

公営の樹木葬は費用が比較的安く、信頼性が高い供養方法です。自治体が霊園を管理するため、倒産などの心配が基本的になく安心して眠ることが可能です。

ただし、公営の樹木葬は人気が高く抽選制となるため、希望通りに購入できないことがあります。

また、納骨まで時間がかかることも多いため、比較的早く納骨したい人は民営霊園や寺院墓地の樹木葬がおすすめです。

公営の樹木葬を申し込む際は、事前に条件をよく確認して不備がないように正確に手続きを行うようにしましょう。

---

---