離檀料とは？相場や支払い義務、トラブル事例について

「墓じまいをしたい」「檀家を辞めたい」という時に気になるのが、「離檀料」という言葉です。

離檀料は、檀家をやめる時に寺院に支払う金銭のことを指します。しかし、離壇料についてはっきりとしたルールがないため「いくら支払えばよいか」「そもそも支払う義務はあるのか」と戸惑う人も多くなっています。

中には、高額な離檀料を請求されてトラブルに発展するケースもあるため、離壇する際は慎重な対応が必要です。

この記事では、離檀料の意味や背景、一般的な金額の目安、よくあるトラブルとその対処法までわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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檀家や離壇料とは？意味と背景

檀家（だんか）とは、特定の寺院と継続的な関係を持ち、その寺院に先祖供養や法要などをお願いする家のことを指しますが、近年は檀家をやめる、つまり「離檀する」家が増えてきています。

ここでは、離檀や、離檀の際に支払う離檀料について詳しく解説します。

離檀とは？

離檀（りだん）とは、これまで所属していたお寺との関係を解消し、檀家（だんか）としての立場を離れること、つまり「檀家をやめること」を指します。

日本では江戸時代に始まった檀家制度によって、どの家もいずれかのお寺の檀家となることを義務付けられ、先祖代々そのお寺と関係を築いてきました。

しかし、現代では檀家でなくても葬儀や供養ができるようになり、ひとつのお寺と関係を持ち続けることが必ずしも必要でなくなっていることから、お寺との関係を解消する人、つまり離檀する人も増えてきています。

離壇する際は、今までお世話になったお礼として「離檀料」を渡すことが一般的です。

また、離檀するとお寺との関係がなくなるため、寺院墓地にお墓がある場合は、お墓を改葬して別の場所に移す必要があります。

離檀料の本来の意味

離檀料とは、檀家が離檀する際にお寺へ渡すお布施のことです。

離壇料はこれまでの供養や法要、管理に対する感謝の気持ちを形にしたものであり、「お世話になりました」という意味を込めてお渡しします。

そのため、離壇料の相場に正式な決まりはなく、数万円から数十万円の範囲であることが一般的です。

ただし、もっと高額な離壇料を提示される場合や、逆に離檀料を請求されない場合もあるため、事前に寺院に確認することが大切です。

檀家料とは？檀家になるとかかる費用相場や内訳、離檀料について

離壇でよくある理由

離檀を選ぶ理由はさまざまですが、代表的なものとして以下のようなケースが挙げられます。

• お墓の後継者がいない
• 転居や移住でお墓に通うのが難しい
• 金銭的な負担が大きい
• ライフスタイルに合ったお墓にしたい

近年は少子化によって、後継者がおらずお墓を維持できないという人もいますし、転居の関係から離壇して自宅近くの墓地に改葬するという場合もあります。

また、金銭的な負担が大きいことも、離檀を決める理由の一つです。檀家の場合は、檀家料を毎年納める必要があります。寺院改修時の寄付や季節の法要ごとのお布施なども必要なため、金銭的負担が大きいということで、離檀を決断する人も少なくありません。

さらに最近は、一般的なお墓ではなく、自分達のライフスタイルに合った、より現代的なお墓で眠りたいという人も増えています。こうしたニーズに応える選択肢として、お墓の管理や供養を寺院に任せられる、永代供養墓や樹木葬を選ぶケースも増えています。

このように、離檀は決して後ろ向きなものではなく、自分たちの状況や価値観に合った供養のかたちを選ぶための前向きな決断といえるでしょう。

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離檀料の費用相場の目安

離檀料の費用相場は、お寺や地域によって異なるものの、数万円～20万円です。

離檀料は、これまでの供養や管理に対する感謝の気持ちを表すお布施とされており、義務ではありません。しかし、ある程度まとまったお金を包むのが通例となっています。

離壇料については「お気持ちで」と言われる場合もあれば、明確に金額を提示される場合もあります。また、離檀料の費用相場は、地域の慣習や寺院の考え方によっても異なります。

離檀料をどれくらい包むべきかわからないという場合は、ご住職に相談すると良いでしょう。

離檀に必要な手続き

離檀を円満に進めるためには、いくつかの基本的な手続きとマナーを守ることが重要です。主な流れは以下の通りです。

1. 親族と離壇について相談する
2. 寺院に離壇することを伝える
3. 離檀料をお渡しする
4. 改葬許可申請をする
5. 墓じまいの手配をする

離檀を検討する場合は、まずはこれまでお世話になったお寺に離檀の理由を丁寧に伝えて相談しましょう。

突然「離檀する」と伝えるのではなく、まずは誠意を持って相談することで、ご住職の理解を得られる可能性が高まります。

離壇が了承されたら、これまでの感謝の気持ちとして離檀料をお渡ししましょう。金額については事前に相談し、不明瞭な場合は「お気持ち」で包む形でも問題ありません。

トラブルを避けるためにも、離檀の際は、口頭だけでなく簡単な覚書や離檀承諾書などを交わすと安心できます。

寺院内にお墓がある場合は、墓じまいをしてお墓を別の場所に改葬する必要があります。

改葬をする場合は、改葬許可証を取得するなど行政手続きも発生するため、早めに準備を始めることが大切です。

離檀は檀家・寺院双方にとってデリケートな問題ですが、誠意ある姿勢を見せることで、基本的には円満に進めることができます。

トラブルなく檀家をやめるには？費用・手順・礼儀などポイントを紹介

離檀後に墓じまいする際の費用や流れ

寺院内にお墓がある場合は、離壇の際に墓じまいをして、他のお墓に改葬する必要があります。

墓じまいの費用総額の相場は、「30万円〜250万円」となっており、費用の内訳は以下のとおりです。

費用の種類	費用の内訳	費用相場
墓地の撤去にかかる費用	墓石解体・撤去・整備費用	20万円～50万円
僧侶への費用	離檀料（寺院による）	数万円～20万円
	閉眼供養のお布施代	3万円～5万円
行政手続きの費用	埋葬証明書・受入証明書	数百円～1,000円ほど
新しい納骨先（改葬先）にかかる費用	お墓の種類による	10～200万円
	開眼供養のお布施代	3万円～5万円

墓じまいの費用は、新しい納骨先のお墓の種類によって大きく変わります。

墓じまいの改葬先としては、お墓の管理や供養を寺院に任せられる永代供養のお墓が人気です。

永代供養のお墓であれば、「お墓の後継者がいない」「様々な事情によりお墓の管理が難しい」「お墓にかかる継続費用の負担が重い」という悩みを解決できます。

永代供養については、以下の記事も参考にしてください。

永代供養とは？主な種類や費用、選ぶ際の注意点をわかりやすく解説

また、墓じまいの具体的な手順は、以下の通りです。

1. 家族や親族と相談する
2. 墓じまい後の納骨場所を決める
3. 墓地の返還手続きをする
4. 役所に改葬許可を申請・取得する
5. 閉眼供養を行う
6. 遺骨を取り出す
7. 墓石の撤去と墓所を整備する
8. 新しいお墓に納骨する

墓じまいをする場合は、最初に家族や親族と相談し、同意を得てから進めることが大切です。

墓じまいの費用や手順については、以下の記事も参考にしてください。

墓じまいの費用はいくら？平均相場や内訳、費用を安く抑える方法

離檀で失敗しないためのコツや注意点

離檀は、お寺との長年の関係に区切りをつける重要な決断です。しかし、手続きの進め方を間違えると寺院とトラブルになったり、後味が悪い結果になる可能性があります。

ここでは、離檀で失敗しないためのコツや注意点について詳しく解説します。

親族や家族と十分に相談する

離檀は家族や親族全体にとって大きな節目となるため、事前にしっかりと話し合って合意を得ておくことが大切です。

合意を得ずに進めると後々のトラブルに繋がり、わだかまりが残る可能性があります。

スムーズに離檀を進めるためにも、親族全体で納得したうえで進めるようにしましょう。

菩提寺に丁寧に離壇の意志を伝える

一方的に檀家をやめることを通知したり、事務的なやり取りをすると、ご住職の心証を損ねてトラブルにつながる可能性があります。

できる限り直接会い、長年にわたってご先祖の供養をしてくれた感謝の気持ちを伝えることが大切です。

礼儀正しい対応が、お寺との関係を円満に終えるための基本であると覚えておきましょう。

離檀料や支払い方法について事前に確認する

離檀料についてはお寺によって金額や考え方が異なるため、曖昧な状態のままで進めると、後になってトラブルになりかねません。

金額の目安や支払い方法、時期などを事前に確認し、合意をしておくことが大切です。可能であれば、書面を交わしておきましょう。

高額な離檀料を請求されたら専門家に相談する

離檀料が明らかに高額だったり、納得できない請求を受けた場合は、一人で悩まず弁護士や消費生活センターなどの専門家に相談しましょう。

不当な金銭要求には、適切に対応する必要があります。一人で抱え込まずに、客観的な第三者の意見を取り入れることが重要です。

離壇料に支払い義務はあるのか

離檀料とは、これまでの供養や管理に対する感謝の気持ちとして渡す「お布施の一種」のため、法律上の明確な支払い義務はありません。

しかし、長年にわたってご先祖の供養やお墓の管理をしてもらったことを考えると、一定の謝意を形にして示すことは社会通念上のマナーとされています。

そのような意味では、感謝の気持ちとして何らかの金銭を包むのが一般的です。

一方で、寺院によっては高額な離檀料を請求する例もあり、トラブルになるケースもあります。

そのような場合は、離壇の理由を丁寧に説明するなど、まずは冷静に話し合いの場を持ちましょう。

納得がいかない場合は消費生活センターや弁護士など、専門家へ相談するのもひとつの選択肢です。

離檀料は義務ではなく、感謝の心を表す自主的な行為であることをふまえつつ、丁寧に対応することが大切です。

離檀料を払わないとどうなる？トラブル事例と対処法

離檀料は法律上の義務ではありませんが、支払わない場合はスムーズに離檀できない場合があります。ここでは、離檀料をめぐって起こる可能性があるトラブルと、その対処法について解説します。

必要な証明書を発行してくれない

離檀後にお墓を改葬する場合、自治体に提出する「改葬許可証」が必要ですが、これを取得するには現在の墓地管理者（＝お寺）から「埋蔵証明書」などの書類が必要になります。トラブルになると、これらの証明書の発行を拒否されるケースがあります。

このような場合は、まずは文書で正式に請求し、それでも対応してもらえない場合は、市区町村の役所や法務局に相談するのが有効です。公的機関を通じた交渉によって、解決が進むことがあります。

遺骨を引き渡してくれない

離壇料において最も深刻なトラブルが、遺骨の返還を拒否されるケースです。

法的には、遺骨の所有権は原則として遺族とされているため、寺側が遺骨を保有し続ける法的根拠はありません。しかし、離壇料のことでトラブルが起きると、寺院側が引き渡しを拒否するケースもあります。

交渉しても遺骨を引き渡してもらえない場合は、弁護士など第三者を通じて交渉を進めましょう。

檀家料を払わないとどうなる？離檀料や注意点、墓じまいの方法も紹介

まとめ

離檀料は今までの供養への感謝の気持ちを込めてお渡しすることが一般的で、相場は数万円～20万円です。ただし、金額の相場は地域や寺院によって異なりますので、ご住職に聞いて確認すると安心できます。

万が一トラブルになった際は、抱え込まずに弁護士や第三者などの支援をうまく活用するようにしましょう。

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