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継承者不在のお墓は、やがて無縁墓という結末をたどります。遺骨は寺院・霊園で合祀されますが、できれば家族が元気なうちに改葬先を決めておきたいものです。

この記事では、そもそも無縁墓とは何か、なぜ増えているのか、無縁墓にしない為にはどうすればいいのか、について解説します。

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無縁墓とは

無縁墓にしないためにできること

無縁墓とは、継承者や縁故者がいなくなったお墓のことを指します。

本来、ご先祖様を含む故人が眠るお墓は、ご家族や寺院の管理によって供養の環境が守られます。お墓の管理とは、定期的にお花と水を取り替え、お盆やお彼岸にお参りをし、草むしりや掃き掃除をしてきれいにするといった、お墓回りの世話をいいます。

しかし継承者が不在で、お墓の世話をする人がいなくなると、荒れた環境のなかでお墓が取り残される状態になってしまいます。この状態が「無縁墓になる」ということを意味します。

近年、無縁墓は全国的にも増加しており、社会問題としても知られるようになっています。

そもそもなぜ無縁墓になってしまうのでしょうか。また、無縁墓になるとどうなってしまうのでしょうか。無縁墓が発生する原因や無縁墓の処理について解説していきましょう。

無縁墓が発生する原因と背景

無縁墓を生む原因は、個人の事情もあれば社会的な問題も絡むなど、さまざまです。

中でも主に、

  • 価値観の変容
  • 少子高齢化
  • 過疎化

という3つの原因が挙げられます。

価値観の変容

昭和のある時期まで、「家庭を築く」「家を継ぐ」という意識は日本人のなかで根強く存在しました。

それが敗戦によって家父長制をはじめとする家制度が廃止され、価値観が大きく変容。結果的にお墓を継がない家の増加を招きました。

高度経済成長期に進行した核家族化も、お墓継承の意識を弱めた要因です。

少子高齢化

これまでは、配偶者や子ども、孫、親族による継承によってお墓は代々守られてきました。

しかし昨今は子どものいない家庭、あるいは単身世帯も少なくありません。少子高齢化の進行によって家制度を支える子どもが少なくなれば、責任をもって管理してくれる人もいなくなってしまうでしょう。

そうなると必然的に管理者の高齢化が進み、その方にもしものことがあれば無縁墓という結末を迎える可能性が高くなります。

過疎化

高度経済成長期以降にあると、若者とは上京することが多くなり、人口は都市部に集中。地方は過疎化が進む地域も増えています。

上京した若者が地方へ戻り、お墓参りするには手間も時間もかかる為、「もう何年も墓参りに行っていない」という方も珍しくありません。

このような状況も、無縁墓が増えている背景の一つとなっています。

無縁墓になるとどうなる?無縁墓の条件や処理について

無縁墓になると、管理費も支払われなくなり、そのうち撤去されてしまうことにます。

撤去といっても、ご遺骨はどこかの寺院・霊園などで合祀されることになりますが、もともとの管理者が不在のため「無縁仏」という扱いになります。

お墓撤去の基準は、

  • 1年間立て札を立てても音沙汰なし
  • 管理費を5年以上滞納

などがあり、墓地によって異なるのが実情です。なかには、半分近くのお墓が管理者不在となって放置されている墓地もあるようです。

全国には、少なくない数の無縁墓が存在するといわれおり、無縁墓がない霊園や寺院の方が珍しいという状況とも言われています。

無縁墓にしない為の対策

無縁墓にしない為には、ご家族や親族で話し合い、お墓の継承方法や維持管理方法を決めておくことが大切です。

継承者不在で無縁墓が危ぶまれる場合は、

  • 墓じまい
  • 永代供養
  • 樹木葬や散骨

などの対策・供養方法を検討する必要があります。

墓じまい

経済的・時間的な負担から、「お墓を継げない、継ぎたくない」という場合、墓じまいをするという選択があります。

墓じまいとは、現在のお墓の墓石を撤去し、更地にし、墓地の管理者に敷地を返すことを指します。

墓じまいといっても、故人を供養する場所がなくなるわけではありません。

今あるお墓がなくなってしまうということは事実ですが、代わりに自分の管理できる墓地にお墓を移したり、次にご紹介する「永代供養」などを利用して、代わりに供養してもらうことになります。

墓じまいについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

永代供養

墓じまい後の供養の形として選ばれる一つが永代供養です。

永代供養とは、様々な理由でお墓参りに行けない遺族の方に代わって、霊園や寺院がご遺骨を管理・供養してくれる埋葬方法の事をいいます。

永代供養にすると、霊園や寺院が永代に渡ってお墓を管理してくれるため、子孫がお墓を継承する必要がありません。

永代供養墓は墓石なども必要ない為、費用も抑えることができ、無縁墓にもならない為、近年は永代供養を選択する人も増えています。

永代供養については以下の記事でより詳しく解説しているので、ぜひ参考にして下さい。

海洋葬や自然葬

また、ご遺灰を海に撒く海洋葬(散骨)も、お墓の必要がないため継承の心配もありません。

墓地をもたず大自然に還るかたちで供養してもらう自然葬も、昨今増えだした葬送スタイルです。海洋葬のほかにも樹木葬や桜葬、宇宙葬などさまざまな自然葬があります。

樹木葬であれば墓誌を作成できるうえ、遺骨を安置する場所も明確になります。なおかつ永代での供養も可能です。

ちなみに、永代供養は生前申し込みも問題ありません。元気なうちにお墓の種類と管理先を決め、家族の理解もらえれば、安心して余生を送れるでしょう。

とくに継承面で不安を覚える方は、ぜひ検討してみてください。

「終活」も無縁墓の防止に繋がる

終末期をどう過ごすかを考える「終活」も無縁墓の防止に繋がります。

最後の最後まで悔いなく充実した人生を送りたいとの考えから、「終活」に励む方も増えています。その一環として、いずれ自分が入ることになるお墓を決める人も少なくありません。

お墓の種類、ふさわしい立地、購入先、あるいはお墓の必要性まで含めて検討し、終活カウンセラーのアドバイスを受けながらひとつ一つ決めていくことになります。

この際、「お墓選び」と「お墓の継承」について考える必要があります。

まず「お墓選び」ですが、「お墓は地元にあるから問題ない」ともいえません。実家から遠く離れた地域に住んでいるとしましょう。もともとあるお墓に入りたいという明確な意思があれば別ですが、今の生活基盤のある地域で選びたいという願望があれば、一から墓地やお墓選びを進めていかなければなりません。

もうひとつ大切な視点が、「お墓の承継」です。お墓は納骨して終わりではなく、いつまでも供養される環境が大切です。身寄りがいない、あるいはご高齢の家族・親族しかいない状況であれば、あらゆる事態を想定した墓地選びが望まれます。

このような早い段階での対策が、無縁墓の防止につながるのです。

まとめ

お墓は、誰かしら管理する人がいてはじめて存続を保証されます。

管理者不在で荒地となり、草も伸び放題となれば、故人も悲しむでしょう。無縁墓認定されれば、いずれ撤去されることになります。そのような事態を回避するためにも、早い段階でお墓の承継の問題と向き合うことが重要です。

無縁墓を回避する方法として選ばれるのが、永代供養です。継承者不要で、納骨後は寺院・霊園が責任をもってお墓回りの世話をしてくれます。自然葬も含めさまざまな弔い方法を検討して、最良のかたちに近づけましょう。

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